研究紹介
健康増進に寄与する放射線医学物理学研究
当研究室では,AIを軸に健康増進に寄与する放射線医学物理学研究を展開しています.
その内容は,放射線治療品質管理,Radiomicsと呼ばれるビッグデータ解析,放射線生物学との連携,イメージングです.
臨床試験における放射線治療の質的向上
臨床試験におきましては,放射線治療の品質管理が重要であると言われています.
そこで,医学物理学的な観点からプロトコル作成,参加施設認証試験の企画・実施,登録症例品質管理を実施し,放射線治療の品質管理に取り組み臨床試験をサポートしています.
また,この活動はオーストラリア,ヨーロッパ,アメリカなどとコンソーシアムを組んで,放射線治療の品質管理の調和に取り組んでいます.
Radiomicsによる予後予測
医用画像を扱う研究分野には,Radiomics (Radiologyとomicsから成る造語) という研究があります.
その内容は,画像上の関心領域から肉眼では確認できない高次元の定量的情報を捉え,イベントを予測する,というものです.
これまでに,協力機関から800症例以上の肺がん患者データを集めて,局所再発や遠隔転移をエンドポイントとした予後予測や肺炎をエンドポイントとした予後予測を行ってきました.現在も様々な疾患でRadiomics研究を行っていきます.
生物学的知見を組み込んだ展開
放射線治療は放射線生物学と医学物理学から成り立っており,健康増進のためには放射線生物学との連携が不可欠です.
「低酸素マーカーや腫瘍マーカーを用いて複合的に予後を予測する研究」や「マイクロファイバーを用いて,リアルタイムに放射線感受性を予測する研究」にも取り組んでいます.
実投与線量分布の把握
毎日の治療で撮影する低画質な患者位置合わせ用画像をAIで処理し,体内の線量分布を計算できるように取り組んでいます.体内の線量分布が把握できれば,腫瘍反応や有害事象と実投与線量との関係を明らかにすることができます.
非侵襲動体追尾システム開発
動体追尾照射法において,「治療計画用データをAIで学習し,患者個別モデルで対応する方法」や「画像から直接呼吸波形を抽出して対応する方法」などを開発しています.