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修了生の声

 

医療機器メーカー

櫻井 雄太:令和5年度卒業

私は人間健康科学科の内部生として当研究室に入りました。医学物理学に決めた理由は、①元からX線を使った医療機器に興味があったこと、②他の理工系研究室と違い、臨床に近いところで工学の研究ができるのが面白そうだったことでした。
実際に配属されてみると、やはり京大病院内の治療科との距離が近いおかげで、自分の研究によって臨床の放射線治療がより良いものになるんだ!というやりがいが感じやすく、研究を楽しめる環境でした。
また、プログラミング力を養える環境が整っているのも当研究室の良いところでした。私自身、配属前はプログラミングを使った開発は未経験だったので、最初は苦労しましたが、開発経験が豊富な先輩や教員の方々によるご指導もあり、今は1から画像処理のソフトウェアを作れるようになりました。
さらに、研究活動や教員の方々とのディスカッションを通して、英語力や課題を把握して解決する能力などの、社会人として必要なスキルを磨くこともできました。学生への教育が充実している環境のおかげもあり、修士2回生までの3年間で成長させていただきましたこと、改めて感謝申し上げます。
最後になりますが、医学物理士志望の方のみならず、純粋に放射線治療に興味がある方や臨床に近いところで医療機器開発をしたい方などにも門戸は開かれていますので、ぜひ当研究室にお越しください。

 

 

京都大学医学部附属病院 放射線治療科

岸上 祐加子:令和5年度卒業

私は放射線技師として市中病院で勤務しており、上司の紹介で当研究室を知りました。願書の締め切り間近であったため、勢いのままに出願したのが、私が当研究室に入ったきっかけです。
当初は社会人博士で、京大で直接の指導を受けられないことが壁となり、思うような成果が出ずにいました。そんな中、「このままでいいのか」という焦りが日増しに強くなっていきましたが、「社会人」の立場は私にとって絶対的な「逃げ場」でもあり、それを捨てる勇気はありませんでした。悩み続ける私に対して、中村先生は、時に優しく時に厳しく、この世界へ飛び込めるように背中を押し続けてくださりました。
仕事を辞めて学生に専念することは、本当に怖かったです。しかしながら、今の私は当時の私に「間違っていなかった」と胸を張って伝えることができます。非常に充実した教育環境は言うまでもなく、温かくて心強い、そして高みを目指す周囲の皆さんに支えられ、今までの人生の中で最も成長できたのではないかと思っています。
当研究室にいると、意識せずとも最先端の技術に触れ、開発に携わることもできます。さらには、そのような環境に身を置くことで、自身をも更新し続けることができるのではないかと思います。人生100年時代、自分を更新しながら歩んだ方が面白いのではないかと個人的には思っています。当研究室が関わることについて、何か興味がわいたのであれば、ぜひ一度、参加を検討されてはいかがでしょうか。面白い人生が待っているかもしれません。

 

 

Varian Medical Systems

鶴田 裕輔:令和4年度卒業

~~最高の指導者と信頼できる仲間との出会い~~

私は2020年に社会人大学院生として当研究室に進学しました。進学を決意したきっかけは,自分の仕事を成果として残したい,という強い思いが芽生えたからです。そこには,最高の指導者と信頼できる仲間との出会いがありました。2009年に京都大学医学部附属病院に放射線技師として入職して以来,放射線治療部門で勤務してきました。当時の部門リーダーから常に,いまの放射線治療分野に関する問題点や将来展望について議論する機会に恵まれてきました。若かった私に話題を振りまいてくれて議論を重ねたことが博士課程の研究テーマの種となりました。入学してからは,中村先生に親切かつ丁寧な,そして時に厳しくご指導いただきました。学位論文以外にも臨床業務のことを医学物理的観点からご指導いただきました.また,同期で入学した留学生の周君にも助けてもらいました。周君を共著者として学位論文が書けたことは私にとって非常に感慨深く感じています。
 学位を取得するためには,自分自身の努力が必要なことはいうまでもありませんが,周囲からのサポートも必要不可欠です。振り返ってみると,学位を取得することは「人脈を作ること」になるのかもしれません。フルタイムでの仕事を持ちながら研究を進めていくことは,正直なところ簡単ではありません。しかしながら,もし,現在放射線技師として勤務していて,大学院進学に興味があるのであれば,当研究室の扉をたたいてみてはいかがでしょうか。きっと人生を変えるような素晴らしき出会いがあるでしょう。

 

 

Harvard University

周 徳軍:令和4年度卒業

私は初めて医学物理学について北京大学の修士課程で知りました。その時が私にとって、がん患者を助けるために自分の背景とスキルを使うことができることを知った初めての時でもありました。2018年に修士課程を卒業した後、28歳で私のキャリアを諦め、医学物理士を目指すために準備を始めました。

当時私は医学の背景がなかったため、将来の基盤を築くために医学物理学の博士課程を追求することに決めました。私は医学の背景を持っていない人でも応募できる、京都大学の医学物理学の博士課程に応募しました。2020年4月にプログラムを開始しました。しかし、パンデミックのため、2020年4月から11月まで、日本に入国できなかったため、中村先生とグループと遠隔で協力し、Zoomを通じて研究についての講義や議論を行いました。日本に入国し、京都大学医学部附属病院でより多くのリソースと臨床実習の機会を得た後、博士課程の最大の利点は研究と臨床トレーニングの組み合わせだと気づきました。私の以前の職務経験には加速器の設置と調整、放射線測定が含まれており、これらの経験は私が医学物理学における臨床実習のタスクをスムーズに理解し、実行するのを助けました。また、私のプログラミングの背景は研究の進捗を加速しました。私はPythonとMATLABでAIモデルを実装し、C#でEclipseプラグインを書くことができます。博士課程中には、私が筆頭著者として5つの論文を発表しました。

京都大学のプログラムは、日本で認定された医学物理教育プログラムです。ここでは医学物理グループのメンバーが臨床実践についてすべて教え、放射線腫瘍科の先生たちは患者のためにプランを最適化する方法を指導してくれます。がんと戦いたいのであれば、臨床的に直接的にも、研究的に間接的にも、ぜひ私たちの一員になってください。

I first learned about medical physics during my master’s program at Peking University. That was also the first time I know my background and skills can help patients with cancer in the future. After I graduated from the master’s program in 2018, I made up my mind to give up my career at the age of 28 and started preparing to be a medical physicist.

Since I did not have any medical background at that time, I decided to pursue a Ph.D. in medical physics to build a foundation for the future. I applied to the medical physics Ph.D. program at Kyoto University because the program can recruit candidates without any medical background. My program started in April 2020. Because of the pandemic, from April 2020 to November 2020, I cooperated with Professor Nakamura and the group remotely because I couldn’t enter Japan. Professor Nakamura gave me lectures and we hold discussions about research via Zoom. Once I entered Japan and got access to more resources and chances of clinical practice at the Kyoto University Hospital, I found that the best part about the Ph.D. program is the combination of research and clinical training. My previous working experience included the installation and commissioning of an accelerator and radiation measurement. These experiences have helped me to smoothly understand and conduct clinical practice tasks in medical physics. My coding background also accelerated the progress of my research. I can implement AI models in Python and MATLAB and write Eclipse plugins in C#. During my Ph.D. program, I published 5 papers as the first author.

The program at Kyoto University is one of the accredited medical physics education courses in Japan. Here the members of the medical physics group will teach everything about clinical practice, and the doctors of radiation oncology will guide you how to optimize the plan to bring a better future for the patients. If you want to fight cancer, either directly with clinical or indirectly with research, why not join and be a member of us?

我第一次了解到医学物理学是在北京大学攻读硕士学位期间。那也是我第一次意识到自己的知识和背景可以在未来帮助癌症患者。因此在2018年硕士毕业后,我决定在28岁时放弃自己那时的事业,同时开始准备成为一名医学物理师。

由于当时我没有任何医学背景,我决定攻读医学物理学博士学位来为未来打下基础。我申请了京都大学的医学物理学博士项目,因为该项目可以招收没有任何医学背景的学生。我的博士项目始于2020年4月。由于疫情的缘故,从2020年4月至11月,我无法进入日本,只能通过远程合作的方式与中村教授和课题组合作。中村教授通过Zoom给我讲授课程,并与我进行研究讨论。当我到达日本并在京都大学医学部附属医院获得了更多的资源和临床实践机会后,我发现该项目最棒的部分是结合了研究和临床培训。我之前的工作经验包括加速器的安装和调试以及辐射测量。这些经验帮助我顺利地理解和进行医学物理学的临床实践任务。我的编程背景也加速了我的研究进展。我可以使用Python和MATLAB实现AI模型,并使用C#编写Eclipse插件。在我的博士项目期间,我作为第一作者发表了5篇论文。

京都大学的医学物理学项目是日本认可的医学物理学教育课程之一。在这里医学物理学课题组成员将教授有关临床实践的一切内容。同时放疗科医生也将指导你如何优化治疗计划,为患者带来更好的未来。如果你想参与攻克癌症,无论直接通过临床业务或间接通过研究成果,为什么不加入并成为我们的一员呢?”

 

 

京都大学医学部附属病院 放射線治療科

足立 孝則:令和3年度卒業

“医学物理士”を知るきっかけは何だったでしょうか?高校生の時,大学の講義,病院実習,パンフレットを見た等,十人十色だと思います.私は,学部時代の病院実習で医学物理士の存在を知り,放射線治療に携わる道に進みたいと漠然と考えていました.しかし,臨床的な知識・技術が欠落していることを痛感し,大阪大学の学部・修士課程を修了した後に,博士後期課程より京都大学に拠点を移すことを決意しました.私と全く同じバックグラウンドの先輩方が多数在籍されており,深い縁を感じたことを今でも鮮明に覚えています.
博士後期課程では,ビッグデータを活用した放射線治療後の予後予測に関する研究をおこないました.本研究室は,医学物理活動において本邦で最も歴史があり,多くの臨床データや医療機器等を利用できる恵まれた環境でした.ゆえに,朝から晩まで自由に研究活動に没頭することができたと思います.また,上記の研究活動と並行し,On-the-job training形式にて医学物理に関する臨床経験を積みました.医学物理士としての二刀流生活は大変忙しいですが,思う存分,臨床力・研究力を養うことができたと実感しています.
医学物理士は,臨床・研究・教育の全てに携わる何でも屋であり,放射線治療の発展には必要不可欠な存在です.あなたも医学物理士としての高いスキルを大学院で身につけ,臨床・研究・教育の全てにおいて活躍できる医学物理士を目指してみませんか?

 

大阪医科大学 関西BNCT 共同医療センター

柿野 諒:令和2年度卒業

私は放射線技術科学専攻出身であり,学部時代に「医学物理士」という職種を知りました.物理・工学が好きだったこと,放射線技術科学のみならず様々なバックグラウンド出身の研究者が切磋琢磨していることに魅力を感じ,医学物理士を志すようになりました.九州大学の修士課程を修了した後,平成30年4月に京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻医学物理学分野 博士後期課程の第一期生として入学しました.研究活動と並行して医学物理士としての臨床研修を積むことは,時には大変なこともありましたが,とても充実した日々を過ごすことができました.博士後期課程在籍中は,医用画像を用いた患者の予後予測に関する研究に加え,修士時分の研究テーマであった中性子に関する研究も行うことができました.各学生のバックグラウンドに合わせた研究を遂行できる点も,当グループの長所であると考えています.
放射線治療における医学物理士の役割は,おおまかに治療計画・品質管理ですが,近年隆盛を極めている人工知能やビッグデータ解析等のデータサイエンスも医学物理学における大きな研究テーマの一つであり,その点からも医学物理士はさらに求められる立場であると予想されます.拙い文章ではありますが,この文章を読んだ方が当グループへの参加を希望していただければ幸いです.

 

医療機器メーカー

安保 慎太郎:令和2年度卒業

私が当グループを初めて知ったのは,学部3回生の研究室選択の時でした.もともと放射線に関心があったこと,また『医学物理』という単語の響きに惹かれ当グループへの参加を決めました.初めは同期もおらず,また自分にとって未知の分野だったので不安もありましたが,先生や先輩方に優しく丁寧にご指導いただき充実した研究室生活を送ることが出来ました.私は学部4回生~修士2回生までの3年間在籍し,医学物理の知識や研究の進め方など幅広い内容を学ばせて頂きました.就職後は当グループでの経験を生かし社会に貢献していければと思っています.
末筆ではございますが,研究室の皆さんには大変お世話になりました.改めて感謝申し上げます.またこの文章で当グループに興味を抱き参加を希望される方がいらっしゃれば幸いです.

 

京都大学医学部附属病院 放射線治療科

平島 英明:平成30年度卒業
「医学物理士」という職種に興味を抱き,様々なホームページから京大医学物理グループのホームページに辿りついた人も多いのではないでしょうか.私も,修士在籍時に医学物理士という職種を調べた際,このホームぺージに辿りつきました.当時の私は,諸先輩方の言葉から医学物理士の仕事や研究環境に魅力を感じ,医学物理士の臨床経験を積みたい,また,臨床に直結する研究がしたい,という気持ちから京都大学病院放射線治療科医学物理グループの門を叩きました.
京大医学物理グループの大きな特徴は,研究と並行して医学物理士の臨床研修を受けさせて頂ける点です.博士課程在籍中は,多職種の先生(医師,診療放射線技師,医学物理士,企業の技術者)と協力し新規治療法の臨床応用に関する研究に携わらせて頂くことに加え,高精度放射線治療を含む放射線治療計画の立案や放射線治療装置の品質管理,コミッショニングをOJT(On-the-job training)形式で学びました.京大医学物理グループの研究と臨床研修の教育環境は充実しており,医学物理士としての能力や知識を高めることができたと感じています.
京大医学物理グループで一緒に学び,より良い医学物理士を目指しましょう.

 

Friedrich Alexander-University Erlangen/Nuremberg

Marc Ziegler:JSPS fellow (July-December, 2018)
After finishing high school, I started studying physics. I did my masters degree in the field of theoretical solid state physics. After my masters degree, I wanted to do something more practical and decided to start my PhD in medical physics at the Friedrich Alexander-University Erlangen/Nuremberg in Germany. In this field, I am able to apply my knowledge of physics to research new ways to improve radiation therapy and the treatment for cancer patients. To know, that my research can be used to help people is very fulfilling.
Medical physics has a high degree of international connectivity which is used to advance the techniques we use to treat cancer today. Because of this, I was given the opportunity to visit Kyoto University for 5 months with a JSPS fellowship as a researcher to start a new collaboration between Erlangen and Kyoto. This has provided me with the possibility, to work with highly motivated and talented people in the field of medical physics and to learn from the Japanese experiences. My research in Kyoto was about the impact of changes of the patient anatomy over the course of a radio therapy treatment on the quality of the treatment.
Positioned at the intersection of physics and medicine, medical physics is a very interesting field in which you can work with many international people from all around the world. Working in this field has given me the opportunity to conduct exciting research on treating cancer in another country. So if you are interested in physics, then why not broaden your horizon to a new field and help to fight cancer.

 

京都大学医学部附属病院 放射線治療科

伊良皆 拓:平成29年度卒業
私からは主に理工系出身者に向けて書かせていただきます.私は学部4年間を放射線治療とはあまり縁のない理学部物理学科で過ごしました.大学院入試を考え始めた学部4年生の頃,それまで学んだ物理学を社会に還元したいという漠然と思っていたところ,医学物理士という職種を知りました.私の第一印象は「名前がカッコいい」だったことを今でも覚えています.調べてみると,物理学や工学の知識で放射線を支えていることを知り,医学物理士を志し京都大学大学院工学研究科に入学しました.
京都大学は理工系研究科で修士課程から医学物理教育を行なっている数少ない大学院の一つです.研究面では物理工学の観点から放射線治療の高精度化を目指す研究を行うことができます.またそれと並行して,医学物理士になるために必要な医療系科目の教育・臨床実習を受けることができます.私自身,大学院の5年間の研究テーマは物理工学系・臨床系の両方を行うことができ,さらに医学物理士に必要となる医療系知識を身に着けることができました.理工系出身は医療系科目を学ぶ機会が少なく最初は苦労しますが,それを乗り越えると周りとは違った視点を持つ医学物理士となれることでしょう.皆さんの知識を医学物理の分野で生かしてみませんか?

 

京都大学医学部附属病院 放射線治療科

小野 智博:平成27年度卒業

私が放射線治療を初めて知ったのは高校生の時,とある新聞記事を読んでのことでした.もともと物理が好きな自分にとって大変魅力的な内容であり,これをきっかけに放射線治療に携わる道に進みたいと強く思うようになりました.そして放射線技術科学専攻へ進学し,学部時代授業の中で医学物理士の存在を知りました.研究・臨床・教育と,放射線治療の発展に大きく関わることができる,まさに私が描いていた職業であると,心に深く刻まれました.
そのまま修士へ進学,そして平成24年より当科の博士課程学生として当科に入局しました.国内でも歴史ある診療実績,産学連携による大型プロジェクト,優秀なスタッフの先生方に囲まれた臨床研修はとても充実したもので,初志貫徹,無事に課程を終え医学博士号を取得することができました.
医学物理は発展途上の学術分野です.がん治療に興味ある方,物理が好きな方,皆さまの入局をお待ちしています.

 

倉敷中央病院 放射線治療科

秋元 麻未:平成26年度卒業

わざわざこのページを開き,わざわざこの卒業生の声に目を通してみようと思われたあなたは,きっと医学物理に興味があって,でもどこへ行けばいいのか迷っているのではないでしょうか.本当にこの道に進んでよいのか,疑問に思っているのではないでしょうか.
私は平成23年4月から京都大学大学院の博士課程に在籍しておりました.実際に入局して感じたことは,様々な人間がいること,それぞれがそれぞれの道でのプロフェッショナルであること,そして,研究についても臨床についても様々な方面から知識や意見が得られる素晴らしい場所であるということでした.私はこの京都大学大学院で過ごした日々が,医学物理士としての能力や知識を高める一つの重要な通過点であったように思います.今となってはこの道を選んで本当に良かったと感じています.
放射線治療に興味がある方,医学物理士になりたい方,はたまた道に迷ってここにたどり着いた方,様々な方がいることでしょう.ここがあなたにとってどんな場所になるか,この未来に何が起こるのかは誰にもわかりません.ただ,あなたが踏み出した一歩はとても大切なものです.少しでも興味があれば,見学に来てみてください.そして,私たちと一緒に,今後の放射線治療を支える重要な担い手となってみませんか.

 

大阪公立大学医学部附属病院 放射線腫瘍科

椋本宜学

椋本 宜学:平成25年度卒業

様々な縁に恵まれて,私は現在医学物理士として働いています.医学物理士とは,放射線治療の現場で臨床・教育・研究に携わる何でも屋ですが,その中で私が大事にしていることは,がん患者を治療するチーム医療の一役を担い,他職種からの疑問に明確な答えを出し,臨床で必要とされる新たな治療法を開発していくことです.
医学物理研究が物理研究や工学研究と大きく異なるのは,その研究が医療現場でニーズがあるかどうか,実現可能かどうかが重要である点です.当科では企業と共同で機器開発やソフトウェア開発,臨床評価を行っていますが,最終的に治療技術として患者さんの治療効果に貢献できるよう,医学物理士は幅広い知識を基に企業の持つシーズと医療現場のニーズを結びつける架け橋となる必要があると思います.
京都大学には,優秀な人材に囲まれ,様々な職種から惜しみない指導を受けられる,恵まれた教育環境があります.より良い医学物理士になるため,是非一緒に学んでいきましょう.

 

日本赤十字社和歌山医療センター 放射線治療科部 医学物理課

石原佳知

石原 佳知:平成24年度卒業

医学物理士と聞いてどのような職業かイメージできる人は稀ではないでしょうか.主に,がんに対する放射線治療において治療計画を作成し,装置の品質管理を生業としています.放射線治療は病院内において最もIT化が進んだ領域の一つであり,また,放射線物理学,計測学,画像工学,情報工学など多岐に渡る技術が常に必要とされる進歩の早い領域でもあります.それらの技術を臨床応用するための業務,研究開発はやりがいのある仕事であると感じています.
私は医学物理士認定コース始動前に修士,博士課程にて臨床研修,研究活動を行いました.在学中に開発したソフトウェアが臨床使用されるなど,研究成果が臨床に直結する点も大きな魅力の一つであると思います.
現在,医学物理士認定教育コースが15大学以上に設置され,より洗練された教育体制が構築されています.また,病院において医学物理士の雇用が確立されつつあります.今後,京都大学の認定コースのもと優秀な医学物理士がたくさん生まれ,ともに医学物理士という職域を大きく確固たるものにしていけることを強く期待しています.
短い字数では魅力を伝えきれません,是非一度,京都大学の医学物理Gまで見学にお越し下さい,お待ちしております.

 

山口大学大学院医学系研究科 放射線治療学分野

椎木健裕

椎木 健裕:平成22年度卒業

私は,当時,九州大学大学院医学系研究科の修士課程に在籍していました.学部時代に医学物理士という職種を知り,修士課程まで進学しましたが,私の周囲には医学物理士として働いている人はいなく,また医学物理士を目指している人もいませんでした.一人でやっていくのにも限界を感じていた時に知ったのが,京都大学の医学物理グループの存在でした.
京都大学の良い所は,臨床も研究も十分に経験できるという点です.臨床面では,在籍中に,2台の放射線治療装置の更新と1台の放射線治療装置の導入が行われ,受入れ試験やコミッショニングをOJT(On-the-job Training)で学ぶことが出来ました.また,高精度放射線治療を含む治療計画の立案,治療装置の精度検証,治療計画の品質管理等も学ぶことが出来ました.日本を牽引する先生方(医師・診療放射線技師・医学物理士・企業の技術者)と協力しながら研究・臨床を進めていくことを経験することで,臨床面や技術面からたくさんの意見を聞くことができたのも京都大学でしか出来ない経験だったと思います.
現在,私は,新設の山口大学大学院放射線治療学分野にて助教として勤務しており,臨床・研究・教育に従事しております.医学物理士として,まだまだ学ぶことが多いですが,現在,なんとか医学物理士業務をこなしていくことができているのは,京都大学病院放射線治療科医学物理グループで研修を行なうことが出来たからだと思います.拙い文章ではありますが,私の経験談を見て,少しでも京都大学病院放射線治療科医学物理グループで研修を受けたいと思う方が増えることを願います.

 

京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻

中村 光宏:平成21年度卒業

当時,私は大阪大学大学院保健学専攻の修士課程に在学していました.当時,将来は医学物理士になりたいと漠然と思っていたのですが,研究を続けたいこと,臨床経験が不足していたこと,病院で医学物理士のポストが確立していなかったことなどの理由で進学を考えていました.しかし,医学物理学に関する体系的な教育を受けられる大学はありませんでしたが,京都大学で医学物理グループが発足したことをきっかけに,「ここで一旗揚げるぞ」と進学を決意しました.
当グループは欧米型の医学物理活動を実践的に展開しており,臨床と研究の両翼を担っています.臨床活動では,高精度放射線治療を含む放射線治療計画の立案,患者さんに照射する放射線量の事前検証を行っております.また,研究活動では,難治がんに対する治療成績の向上と合併症の軽減を実現することを目的とした,がん及び周辺正常組織の動態に対応した四次元放射線治療システムを開発しています. 私自身,修士時分に不安を感じていた臨床に対しても経験が積め,また四次元放射線治療に関するテーマで医学博士号も取得することができました.
当グループでは,臨床経験を積めるだけでなく,臨床に直結する研究を行うことが可能です.私たちと一緒に臨床と研究に励み,今後の放射線治療を支えましょう.当グループへの参加をお待ちしております.

 

滋賀県立総合病院 放射線治療科

松木 清倫:平成21年度卒業

医学物理士としての私の主な役割は,高精度放射線治療を含む治療計画の立案と線量検証,治療計画装置や治療装置に関わる精度管理を行い,放射線治療の品質を保証することです.特に高精度放射線治療技術は複雑かつ多様であり,当施設での適切な精度管理・検証プログラムの作成も私の重要な役割です.また新規装置導入に伴う受け入れ試験や装置基礎特性の測定も担当しております.
私は修士課程・博士課程の計6年間,京都大学大学院で医学物理学を学びました.その間,IMRTの治療計画40件,脳・体幹部定位放射線治療計画40件の立案に携わりました.IMRTの線量検証や新規導入装置の基礎特性測定にも参加し,豊富な経験を積むことができました.研究面では,患者位置ずれや体内臓器移動を定量化する技術開発を担当しました.京都大学大学院の大きな特徴は,医師,診療放射線技師,医学物理士いずれの職種にも日本を牽引するような先生方が多数在籍されておられることです.私は臨床・研究に関する意見を,多くの先生方から効率よく多角的に吸収することができました.また私は学部では工学部に在籍しており,京都大学大学院入学当初は医学系の知識は皆無でした.基礎医学を始め,放射線腫瘍学に関連する講義や実習に参加することができたのも,京都大学の魅力だと考えます.
医学物理士として放射線治療を患者さんに提供するにあたり,私は多くのことを京都大学大学院で学びました.医学物理士を目指すみなさんにとっても京都大学が良い意味での「通過点」になることを願いまして,私の経験談を締めくくらせて頂きます.

 

大和高田市立病院 技術局 医療技術部 放射線技術科

伊東 宏之:平成20年度卒業

私が医学物理士という職種を知ったのは学部3回生の時でした.自分が学んだ物理の知識や技術を,人の役に立つよう活用したいと思ったのがきっかけです.その後,修士課程修了までは理学研究科物理学・宇宙物理学専攻で基礎物理を学び,博士課程在籍中は京大病院放射線治療科で医学物理の研修を受けさせて頂きました.
在籍時の研究テーマは,強磁場を用いたX線由来二次電子の局所制御です.大学院生として研究を行うのは当然ですが,京大病院放射線治療科の医学物理グループでは,研究と並行して医学物理士としての臨床面の研修も受ける事ができます.在籍時は研究方面に進むか,臨床方面に進むか迷っていましたが,自分が治療計画を担当した小児脳定位放射線治療の患者さんが,治療後にお母さんと手をつないで元気に帰っていく姿を見た事がきっかけで臨床方面に進もうと決心しました.卒業後は大阪市立総合医療センターで医学物理士職として,リニアックの更新,前立腺I-125小線源治療,ガンマナイフの業務携わりました.平成25年10月から大和高田市立病院に異動し,現在は,放射線治療部門の立ち上げを経て,高精度放射線治療を実践しております.
皆様が京大病院医学物理グループに入局し,近い将来,才能溢れる医学物理士として羽ばたかれるのを楽しみにしております.